不妊治療のクォータークロミフェン周期で体外受精成功例

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不妊治療の採卵で少し変わった方法と出会えたので紹介したいと思います。クロミフェン(クロミッド)を微量で投与することで妊娠可能な卵子を採るやり方です。

完全な状態ではない

 Tさんは30代後半の方で他県から引っ越されてきました。お若い頃に受けた事故の影響で,脳脊髄液が減少してしまうためこまめな水分補給が欠かせない方です。そのせいなのか体中の痛み,肩こり,脚のむくみ,ひどい頭痛に悩まされています。不妊治療をはじめる以前には子宮筋腫とチョコレート嚢腫の手術歴があります。タイミング法や人工授精でチャレンジされていたころには,漢方専門薬局で漢方薬を飲んでいたのですがあわないようなのかやめてしまったそうです。

3回目の採卵で成功

 当院に来院されたときは1週間くらい前に引っ越しされてきたばかりで,しかもその1週間後には体外受精の移植を控えているという本番直前でした。東京のNatural ART Clinic(ナチュラルアートクリニック)日本橋に通院されていて,1つだけ凍結卵を保存できている状態でした。やっと採れたのでなんとか移植を成功させたいとのことです。
 すでに凍結卵を持っていらっしゃるのですが,いつも治療の経過や誘発方法などを伺うようにしています。ここでクロミッドを1/4錠にしたものを飲んでいたとのことです。当院の近くにある山下湘南夢クリニックもそうですが,加藤系のクリニックはあまりガンガン卵巣を刺激しないマイルドな刺激法をよく選択しています。それをさらに1/4に少なくして誘発するので,そんなんで採卵できるの?…と不思議に思いました。まぁ実際採れているのですけれど,やっとこさ採れてなんとか培養できたものだと思ってしまったので今回はどうかなぁという気持ちでした。

鍼灸施術

 移植の日程がせまっていたので今日と移植の3日前,それと移植当日の3回を施術しておきたいと説明して了承していただきました。今日と移植の3日前の2回は90分の施術とし,移植当日は病院が終わってから直行していただくので60分の施術としました。90分の施術ははり・きゆうとマッサージを組み合わせたものです。全身にはりときゅうをした後にオイルマッサージをするのですが,マッサージといっても肩や腰を揉むものではありません。膝から下のみにしぼって,さらに妊娠するためによいと思えるツボと経絡のみをピックアップして集中攻撃するのです。膝から下にはたくさんの重要なツボがあるのですが,婦人科系や生殖によく使うツボも集中しています。それのみを選んでマッサージします。はりときゅう,さらにマッサージと3段構えで施術をするのでなんらかの効果がアップするのではと思えます。
 移植までの2回でからだの血液を養い,血流をよくすることに専念します。狙いは骨盤内の血流改善,子宮内膜をふかふかの状態にすることです。移植された胚にできるかぎりストレスを感じさせないために,ふかふかのゆりかごを用意しておくのです。自然妊娠の場合この移植3日前というと,ちょうど卵管のなかで受精卵が4~8分割している頃です。この頃の分割胚からは子宮に向けてシグナルを発していると言われます。このシグナルを受けて子宮は,胚を無事に迎い入れて妊娠を成立維持させるための態勢に入るのです。
 移植の当日は終わったことを電話で連絡してもらい,そのまま当院へ直行していただくことにしています。その後はやく帰宅して安静にしていただくために施術は60分のはり・きゅうのみにしています。きゅうを多用して温和な施術内容にします。東洋医学ではからだの中に「腎」というものが存在して生命の誕生に深く関与していると考えられています。また私は腎にはものとものを引き付けたりくっつけたりする力があると考えていて,体外受精においてもからだの外で育てられた移植胚とお母さんになる子宮を引き合わせるのも腎の働きによるものだと思って施術をしています。ですから移植直後の施術の内容はこの腎の働きを補うものです。うちくるぶしや腰,背中と臍の下に腎の力をパワーアップするツボがあるのでそれらを徹底的に使います。あとは帰宅していただいてゆっくりしていただき,翌日からは普通に日常生活をおくっていただくことになります。移植当日の検査で黄体形成ホルモンLHが2と低く黄体消失の恐れが懸念されましたが,子宮内膜が9ミリとじゅうぶんな厚さがありました。
 
 その頑張っていただいた甲斐があって,1週間後の判定は無事に陽性(+)をもらうことができたとのことです。hcgも106とまずまずの数値だったので一安心でした。
 その後つわりのひどさに悩まれましたが,頑張って遠い病院に通院され10週で卒業。藤沢市内の病院へ転院することができました。現在12週になりつわりはまだありますが吐くことがなくなり落ち着きはじめたところです。里帰り出産を希望されています。

クォータークロミフェン周期

 ナチュラルアートクリニック東日本橋では採卵1周期目は完全自然周期,2周期目にクォータークロミフェン周期で採卵するようです。2周期目で採卵できなかった場合にさらにフェマーラを追加するようですが,Tさんは3周期目にもう一度クォータークロミフェン周期で採卵することができました。
 一般にクロミッドによる低刺激法はからだや卵巣にとってもっともやさしい方法とされてきたのですが,抗ミュラーホルモンAMHの値が低い方ほど投薬による反動が大きいとわかったそうです。
 クロミッドを服用していると卵胞を育てる卵巣刺激ホルモンFSHは変わりませんが,排卵を促す黄体形成ホルモンLHは抑制されないので卵巣内で卵胞が育ち続けることができます。ところがここで困ったことが起きることがあり,それは卵胞が持続的に成長を続けることができるために中小の複数の卵胞が育ってしまうことがあります。この中くらいの大きさの卵胞が遺残卵胞となってしまい翌周期の月経3日目の血液検査でエストロゲンEの値を高くしてしまいます。そうなるとこの周期はお休みになりカウフマン療法などで卵巣をきれいにしなくてはなりません。
 そこでこのクォータークロミフェン周期をすることでLHサージを効果的に抑えることで卵胞の成長を助け,かつ遺残卵胞の発生を防いで主席卵胞をしっかり育てることができるようです。
 通常クロミフェンは月経開始3日目から2錠ずつ5日間服用します。クォータークロミフェンですから1/4錠にして服用するので,実際は通常の1/8量になります。さらに月経開始6日目からの服用開始にしているので自然に分泌されるFSH量で成熟させるという,自然周期にできるだけ近づけた刺激方法になっています。さらにこの方法なら連続して採卵周期を迎えることができ,遺残卵胞の影響なく採卵できるようです。

  • クロミッドを1/4,実際は通常の1/8量になっている
  • FSHの分泌量は変わらず,その分LHサージが抑えられるのでじっくり育てることができる
  • 遺残卵胞を防ぐことができるので連続して採卵できる

 私の感じたことは

  • 卵巣機能が低下して,1つの良質卵子を得たい
  • 遺残卵胞によって採卵をお休みしなくてはいけないことがあった
  • たくさん卵胞が育つが,空胞や未熟卵に悩まされる

といった方にはいいかな…と思います。またピルを使わないようにしたり,移植胚の外胚葉を調べたりなど細かな検査があったりして,ちょっと今までの病院とは違う感じがします。ただあくまでも良質卵子をぽこぽこ採れるようにする方法ではないので,根気よくじっくり通院しなければいけない病院のような気がします。

追伸

 その後つわりの吐き気が2日に1回,4日に一回とよくなっていきました。16週目にほぼ無くなってきたので無事卒業となりました。

最後に

 いろいろな方法を試みている病院がでてきていることはとても良い傾向にあると思います。病院でできることは病院に任せることにして,その次で自分でできることは何があるかを考えて実行していきましょう。
 
 神奈川県藤沢市で不妊治療にチャレンジされている女性を応援しています。
   

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